Nature ハイライト

細胞:回転でエネルギーを充填

Nature 427, 6973

自然界に存在する最小の回転モーターを動かして、ATP(アデノシン三リン酸)という形の化学エネルギーを作らせる実験が成功した。この実験はエネルギーを作り出すばかりでなく、重要な酵素であるF1-ATPアーゼの作用機作の解明も押し進めてくれるものといえる。 ATPは細胞でもっとも広く使われているエネルギー形態である。F1-ATPアーゼの回転モーターをうまく動かしてATPをADP(アデノシン二リン酸)に変え、エネルギーを放出させることは容易にできる。しかし、エネルギーを消費する逆向きの反応を行わせるのはかなり難しい。今回、伊藤博康たちは、電磁石を使ってF1-ATPアーゼを回転させることでATPを作り出す仕組みを明らかにした。モーターが反時計方向に回転すると、ATP濃度は低下する。しかし時計方向に回転させるとATP濃度は増大し、力学的な仕事が化学エネルギーに変換されたことが示される。 「この研究は、極めて重要なエネルギー変換複合体の解明を進めるだけでなく、この回転モーターをナノスケールのデバイス開発に利用できるのではないかという期待を高めてくれる」とR L CrossがNews and Viewsで論評している。

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