Nature ハイライト

Cover Story:生まれ変わったホモ・ハビリス:Homo habilisを代表するタイプ標本をデジタル技術でイメージチェンジ

Nature 519, 7541

部分頭蓋骨および手骨の化石からなる、ホモ・ハビリスのタイプ標本OH 7。
部分頭蓋骨および手骨の化石からなる、ホモ・ハビリスのタイプ標本OH 7。 | 拡大する

Credit: John Reader

表紙は、オルドバイ峡谷(タンザニア)出土のタイプ標本Olduvai Hominid 7(OH 7)の180万年前の骨に基づいて復元されたホモ・ハビリス(Homo habilis)の頭蓋である。透明な部分は、ケニア出土の頭蓋KNM-ER 1813に基づくもので、OH 7に合うように変形させている。ホモ・ハビリス(「器用な人」の意)と名付けられた種は、Nature 1964年4月4日号に最初の報告が掲載され、当時知られていたものの中で最古のヒト属種とされた。それ以後ずっと難問となっていたのは、他のどの化石が同じホモ・ハビリスに属するのかを明らかにすることだったが、OH 7の下顎がゆがんでいて本来の形状が分からなくなっていたためにこの作業は厄介なものとなっていた。今回、OH 7の下顎および頭蓋冠の骨について、コンピューター断層撮影法と3D画像化技術を用いて破損した部分を再編成するという最先端のバーチャル復元法が適用され、ホモ・ハビリスのタイプの見直しが行われた。その結果新たに浮かび上がったのは、「ルーシー」に代表されるアウストラロピテクス・アファレンシス(Australopithecus afarensis)に似た原始的な形状の顎と初期のホモ・エレクトス(Homo erectus)に匹敵する大きさの脳を組み合わせた形の頭蓋だった。この新証拠は、ヒト属の多様な進化系統が200万年以上前にすでに存在していたことを示している。

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