Nature ハイライト

細胞生物学:エンドサイトーシスと細胞のシグナル伝達

Nature 517, 7535

細胞は、エンドサイトーシス過程により栄養を細胞内に取り込み、膜の構成要素の入れ替えを行っている。エンドサイトーシスには、クラスリンタンパク質が関与している場合が多く、エンドフィリンはクラスリンが介在するエンドサイトーシスの構成要素であると考えられてきた。だが今回、エンドフィリンは迅速に起こるクラスリン非依存性のエンドサイトーシス経路を仲介していて、この経路は細管小胞(tubular vesicle)の形成に関わっていることを、2つの研究グループが明らかにした。E Boucrotたちは、この経路が積み荷受容体へのリガンドの結合によって活性化され、タンパク質であるダイナミンとアクチンを必要とすることを報告している。また、エンドフィリンが介在するエンドサイトーシス経路は細胞の先端部で起こっていて、細胞の特別な部位に存在するらしく、そこでは脂質であるホスファチジルイノシトール 3,4-ビスリン酸がエンドフィリンの確保に関わっている。この型のエンドサイトーシスは、Gタンパク質共役受容体や受容体型チロシンキナーゼなどの生理や疾患に関わる複数の受容体の取り込みに関わっていることが分かった。一方、H Renardたちは、細菌毒素がこの経路を利用して細胞内に入ることを立証し、エンドフィリンA2がダイナミンおよびアクチンと協働していることも明らかにしている。

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