Nature ハイライト

材料化学:関節軟骨を手本にしたヒドロゲル

Nature 517, 7532

材料設計の分野では、無機フィラーと高分子マトリックスの相互作用を利用した先端的な高分子系複合材料に見られるように、引力相互作用に重点を置くことが圧倒的に多い。だが、静電反発力を活用しても良い結果が得られる。その例の1つが、関節を形成する骨端部を覆う関節軟骨であり、こうした骨端部ではほぼ摩擦のない機械的運動が可能になっている。今回M Liuたちは、関節軟骨を手本にして負に帯電したチタン酸ナノシートを埋め込んだヒドロゲルを開発し、その機械的特性がナノシート間の反発力に支配されることを見いだした。このヒドロゲル複合材料は、シートに対して平行にせん断力を加えると容易に変形するが、垂直方向に加えた圧縮力に対しては変形を起こしにくい。この種の複合材料は、通常とは異なる機能を持つソフトマテリアルの開発に新たな可能性を開くと考えられる。

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