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Cover Story:島嶼の理法:カリブ海地域で行われた島嶼生物地理学の理論の検証で、「通商は地理的隔離に勝る」ことが分かった

Nature 513, 7519

米国フロリダに定着したキューバ産ブラウンアノール(<i>Anolis sagrei</i>)。
米国フロリダに定着したキューバ産ブラウンアノール(Anolis sagrei)。 | 拡大する

Credit: Neil Losin

島嶼生物地理学の理論によれば、生物種の数(豊富さ)は、島の面積と隔離度がそれらの定着、絶滅、および種分化の速度をどのように支配しているかによって決まる。カリブ海西インド諸島へのアノールトカゲの人間による持ち込みには長い歴史があり、パイナップルなどの作物や、最近ではホテルの庭園用観賞植物に紛れて運び込まれている。今回M Helmusたちは、この外来種の拡散を利用して、島嶼生物地理学のこの理論の大規模な直接的検証を行った。得られた結果からは、一部の理論的予測、例えば地理的な面積は種の豊富さについての優れた正の予測因子であることなどは確認された。しかし、人間が強い影響力を持つようになった世界では、地理的隔離に代わって、経済的隔離が種の豊富さの負の予測因子となっている。例えば、島嶼間での船舶通航は地理的隔離とは無関係で、通商政策の方と結び付けられる。その分かりやすい例は、米国の通商禁止措置によってキューバに定着した外来アノールトカゲの数が減ったことである。表紙は、ドミニカ共和国に定着したキューバ産グリーンアノール(Anolis porcatus)。

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