Nature ハイライト

細胞:タンパク質合成の微妙なバランス

Nature 509, 7498

タンパク質合成は、ほとんどの細胞で同程度に行われている「日常的」な機能であるという考え方は、反証するデータがなかったため、これまで広く受け入れられてきた。しかし、タンパク質合成速度をピューロマイシン類似体OP-Puroの投与によってin vivoで定量する技術がマウスで使えるようになり、現在ではこの考え方の検証が可能になっている。S Morrisonたちは、この手法とフローサイトメトリーを併用して、個々の造血幹細胞(HSC)のタンパク質合成量を調べ、HSCでの1時間当たりのタンパク質合成速度は、他のほとんどの種類の造血系細胞よりも低いことを明らかにした。タンパク質合成速度が増加しても減少してもHSC機能が損なわれることも、遺伝学的手法によって示された。この研究は、HSCの維持がタンパク質合成速度の高度な調節に依存していること、また、適切なタンパク質合成量の維持が細胞の恒常性に極めて重要である可能性を示唆している。

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