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がん:急性リンパ芽球性白血病での染色体粉砕

Nature 508, 7494

小児のがんである急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患者の約2%は、第21染色体の1本に染色体内での増幅が生じたiAMP21を持ち、これが独自の予後や治療結果と関わっている。P Campbellたちは、ゲノム解析、細胞遺伝学的解析、転写解析、バイオインフォマティクス解析を組み合わせて、この型のALLが発症する過程を再現した。第15染色体と第21染色体の間にまれに見られる体質性ロバートソン転座(2個の末端動原体染色体が動原体が向き合った形で融合する)があると、iAMP21型ALLを発症するリスクが大幅に上昇することが分かった。このような症例では、ロバートソン染色体の両方の姉妹染色分体が関わる染色体粉砕(chromothripsis;多重染色体再編成)によって増幅が開始されるが、これはがんの素因につながる新しい機序である。散発性のiAMP21では、切断-融合-架橋サイクルがきっかけとなることが一般的で、多くはその後に染色体粉砕が起こる。これらのデータは、二動原体染色体が染色体粉砕の重要な原因となる可能性を示している。

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