海に最も数多くみられる細菌の1種が、動物の目に含まれる色素に似た集光性タンパク質を生産していることがわかった。この発見によって、SAR11の仲間の細菌が光をエネルギー源として珍しい代謝を行う仕組みが明らかになった。 SAR11の仲間は海洋細菌の25%にも達する。食物連鎖中では動物は最終的には植物に依存しているのだが、細菌は他の有機物質を「餌にして」繁殖する。それなのにどうしてこの細菌だけがこれほど多いのか、研究者たちは頭を悩ませてきた。今回見つかったタンパク質はプロテオロドプシンとよばれ、太陽光エネルギーを使ってこの摂食過程を押し進める働きをしていると、S Giovannoniたちが報告している。 プロテオロドプシンは以前に海水中で見つかっていたが、培養細菌株でこれを合成するものは特定されていなかった。Giovannoniたちは、滅菌した海水中でSAR11菌を培養してプロテオロドプシンが生産されることを見いだし、SAR11の仲間がこのタンパク質を自分で生産できることを明らかにした。
2005年11月3日号の Nature ハイライト
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