Nature ハイライト

地球:地球の核が形成された時期を明かす

Nature 437, 7063

金属が地球の核として分離したために、時計として使える放射性同位体が隔離された。こういう放射性同位体を使えば、岩石でできた外殻から核が分離した時期を推測できる。このような同位体時計の2つが相反する形成時期を与えているように思われるのだが、今週号には、火星ぐらいの大きさの天体が地球とぶつかった巨大衝突の際の影響を考えれば、この問題は解決できることが示されている。  巨大衝突は地球質量の最後の10%を作り出し、月を形成したと考えられている。B WoodとA Hallidayは、この巨大衝突が核形成の条件をも変えたと考えている。彼らは、マントルの酸化状態の効果を考慮することで、ハフニウム−タングステン同位体時計とウラン−鉛同位体時計の食い違いをなくすモデルを提案しており、次のような解釈が可能であると考えている。すなわち、ハフニウム−タングステン時計は核形成の初期段階を表している。ところが、巨大衝突が引き起こした地殻の隆起によって、硫黄に富んだ金属が形成されるような酸化状態が生じた。こうした金属には鉛が急速に溶解するだろうから、その結果としてウラン−鉛時計がより若い年代にリセットされたというのである。

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