Nature ハイライト

材料:大きいキラルな穴をもつ多孔質材料

Nature 437, 7059

多孔質金属酸化物は、化学反応の速度を上げる触媒として広く用いられているが、今回報告されたゲルマニウム酸化物群はこれまでに作られた材料の中で最も用途の広いものとなりそうだ。  X Zouたちが作ったゲルマニウム酸化物は他の金属酸化物より孔が大きく、そのために化学物質が孔の内部に容易に入りこむので反応を起こさせやすいことがわかった。通常の金属酸化物と異なり、この材料の孔壁は結晶質であり、これも化学活性を高めるのに一役買っているらしい。また、結晶質であることから孔の形状も正確に求められた。  その結果、チャネルは、ナットのねじやまのように時計回りか反時計回りのらせん状になっていることが明らかになった。Zouたちは、どちらか一方の向きのチャネル群をふさぐことにより、すべてのチャネルが同じ向きのらせんとなっている材料を作った。これは、治療薬などに見られるようなキラル分子、つまり原子の立体配置により左旋性あるいは右旋性の形をとる分子を作る環境として役に立ちそうだ。

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