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地球:土壌中の炭素が大規模に失われている証拠

Nature 437, 7056

英国は、1990年を基準にして設定された化石燃料からの二酸化炭素放出削減目標を2002年に達成したが、その削減量を相殺する勢いで、地球温暖化により土壌から二酸化炭素が放出されている可能性がでてきた。  G Kirkたちは、イングランドとウェールズのほぼ6,000箇所を1978年から2003年にわたって調査し、土壌中に閉じこめられた炭素量を測定した。その結果、炭素は平均して毎年0.6%ずつ失われていることが明らかになった。また、炭素含有量の多い土壌ほど炭素が失われる割合が大きい。これを英国全土に外挿すると、土壌中の有機炭素は年間13テラグラム(13 Tg、1テラグラムは1012グラム)失われていると見積もられる。  炭素が失われる量は土地の利用形態とは関係なく起こったようであり、気候変動との関連が考えられる。農業用に使われていない土壌を劣化させうる単一の要因は気候変動以外には出てこない。  「土壌中から失われた有機炭素の量は、過去に技術的に達成した二酸化炭素の削減量を完全に相殺するもので、英国が成功した温室ガス削減に対して別の見方をする必要が出てきた」と、E D SchulzeとA FreibauerがNews and Viewsで述べている。

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