Nature ハイライト

発生:タンパク質装置のモデル化

Nature 436, 7052

線虫C. elegansの初期胚発生を駆動する分子装置に未知のタンパク質がどのように収まるのかを推定するためのモデルが、今週号に報告されている。分子装置とは互いに相互作用しあうタンパク質や分子の集団であり、時計で歯車が協働して時を刻むのに似た働き方で、DNA合成や細胞分裂などの細胞過程をおし進める。  M Vidalたちは、タンパク質がどの過程に必要で他のどういうタンパク質と相互作用するかという情報に基づいて、そのタンパク質が細胞のどこで見つかりそうかを推定できるモデルを開発した。このモデルは、線虫の初期胚発生で活性化している661個の遺伝子に関する大規模なデータセットのコンピューター解析に基づいている。このモデルを使って、機能の未知のタンパク質が細胞内に何百個とある分子装置のどれに収まるのかを予測することができた。そして、相互作用するタンパク質どうしは体内の同じ場所で同時期に働いている可能性が高く、また同じような生物学的過程に重要である可能性も高いことがわかった。このモデルについてVidalたちは、細胞過程に関する数多くの予測が得られる「情報の宝庫」となりそうだと述べている。

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