Nature ハイライト

認知:探索の精神の宿るところ

Nature 441, 7095

ヒトは極めて好奇心が強く、この好奇心の強さは新しい環境や将来の可能性について学習するのに大いに役立っている。しかし、「好奇心もほどほどに」と言われるように、好奇心にはかなりのリスクやコストを伴う。統計学や技術の分野、経済学などでは長年にわたって、情報探索のコストと利得のバランスをとる方法が考えられてきた。今回、被験者にギャンブルの課題を実行させてfMRIで脳画像を解析する実験から、ヒトは選択肢を検討する際に、同じような原則に従うらしいことが明らかになった。被験者は、蓄積した経験に基づいて最も報酬の多い選択肢を選ぼうとする欲求と、よく知らないがさらに大きな報酬をもたらすかもしれない選択肢を選ぼうとする欲求とを秤にかけなければならない。このように情報を探索して意思決定を下す際には、認知機能の制御にかかわることが知られている脳の前頭極皮質が選択的に活性化していた。これらの結果は、ヒトの情報探索に対する神経生物学的な説明を与え、また行動学や神経学における新たな研究領域を示すものである。

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