Nature ハイライト

再生医学:幹細胞を分化誘導して甲状腺を作る

Nature 491, 7422

マウス胚性幹細胞から分化させた甲状腺濾胞細胞で発現したヨウ素トランスポーター(赤色に染色)。
マウス胚性幹細胞から分化させた甲状腺濾胞細胞で発現したヨウ素トランスポーター(赤色に染色)。 | 拡大する

Credit: Francesco Antonica from S. Costagliola Lab, IRBHM, ULB, Brussels, Belgium

マウスの胚性幹細胞をin vitroで機能を備えた甲状腺濾胞に分化させる方法を、S Costagliolaたちが報告している。転写因子NKX2-1とPAX8を過剰発現させることで、甲状腺濾胞細胞への分化が誘導され、甲状腺刺激ホルモンで処理すると自己組織化する。得られた三次元的な甲状腺濾胞は、in vitroで甲状腺機能の特徴を示し、甲状腺のないマウスに移植すると、複数の症状を救済できる。この研究は、甲状腺発生の分子機序の理解を深めるだけでなく、ヒトで最も多い先天性内分泌疾患である先天性甲状腺機能低下症を治療するための再生医学への道を開く。

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