Nature ハイライト

Cover Story:絶滅寸前のエチオピアオオカミ:病気によって 絶滅の危機に瀕している種をワクチン戦略で救 えるか

Nature 443, 7112

エチオピアオオカミ(Canis simensis)は、エチオピアの隔絶された7 か所の山岳地帯だけにみられる食肉哺乳類で、ネズミ類を捕食している。彼らは複雑な社会組織をもつ血族集団で暮らしている。バレ山脈では1992 年と2003 年に狂犬病が猛威をふるい、エチオピアオオカミの個体群が大幅に縮小したため、現在の生息数は500 個体に満たない。エチオピアオオカミ保護計画(http://www.ethiopianwolf.org)の一環として同地で行われた調査研究には、ほかの保護プロジェクトの貴重なモデルとなりそうなワクチン接種策の開発も含まれていた。その目的は、狭い範囲でワクチン接種を施すことで、サブ個体群間をつなぐ「生息域の回廊」を介した感 染拡大を抑制することだ。この方策によって狂犬病流行の範囲が狭まり、個体群の長期存続の可能性が大幅に高まると期待される。[Letter p.692,www.nature.com/podcast] 表紙写真:Martin Harvey(http://www.wildimagesonline.com)。

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