Nature ハイライト

Cover Story:脳の地図帳:ヒトの脳の分子トポグラフィーが前例のない精度で作成された

Nature 489, 7416

「アレン・ヒト脳アトラス」の3D画像の一例。
「アレン・ヒト脳アトラス」の3D画像の一例。 | 拡大する

Credit: Allen Institute for Brain Science

ゲノム全域にわたる遺伝子発現状況を示す高分解能地図は、マウスについては数年前から使用可能だったが、ヒトの脳に関しては、サイズが1,000倍にもなること、また死後組織の入手可能性とその質に限りがあるという難問のために、相対的に精度の低い発現地図が発表されていただけだった。今回、アレン脳科学研究所(米国ワシントン州シアトル)のM Hawrylyczたちのグループは、健康だった2人の男性の脳を900に細分した小区画について、6万個の遺伝子発現プローブを使い、レーザーマイクロダイセクションおよびマイクロアレイを用いて検討した。こうして作られたアトラスはwww.brain-map.orgで自由に使用できる。また、ヒトとその他の動物との比較も可能であることから、ヒトの神経疾患および精神疾患の研究を加速させるものとなるだろう。すでにこのデータから、海馬のカルシウム結合タンパク質CALB1は、マウスおよびアカゲザルと比較した場合、ヒトで特異的なパターンを示すという結果が得られている。

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