Nature ハイライト

脳:大脳基底核による遠隔学習

Nature 486, 7402

ヒトが言語を習得したり鳴禽が複雑なさえずりパターンを習得および改変したりする場合のような、試行錯誤に基づくスキル学習には、大脳基底核回路が重要な役割を果たすが、その解明は進んでいない。これまでの研究から、基底核回路の1つである前脳前部経路(AFP)が鳴禽のさえずり学習に寄与していることがわかっている。今回Charlesworthたちは、この回路の出力を一時的に遮断すると、訓練中のさえずりの行動的改善が妨げられることを見いだした。しかし意外なことに、十分な訓練を施した後にAFP出力の遮断を解除すると、その直後に、完全に習熟した状態のさえずりが発せられた。つまり、鳥のさえずりが未習熟状態から習熟状態へと急速に移行したのである。したがって、これらの運動性基底核回路は、実践もしくは訓練中に自分がさえずりを作ることに寄与できない状況下でも、ほかの脳領域による成功した運動指令を監視しており、それらの脳領域に習熟行動を実行するように仕向けるらしい。

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