Nature ハイライト

細胞:分化の逆戻り

Nature 449, 7161

成熟して最終分化した細胞種の「身元」がどのように制御され、既に完全に分化した細胞種が、発生上の可塑性をまだ実際にどの程度発揮できるのかという疑問は、発生生物学と幹細胞研究における重要で根本的な問題である。細胞は直接的な分化転換によって異なる細胞種へと直接再プログラミングされるのか、それとも、現在よりも未成熟な状態へと逆戻りしてから、別の経路へと進む、つまり脱分化するのかは、この分野の中心的な疑問であるが、今回、新たな研究からその答えが得られた。Cobaledaたちは、成熟Bリンパ球が機能性T細胞へと転換する間に脱分化することを立証したのである。B細胞の分化と機能にとって重要な転写因子であるPax5を欠失すると、成熟B細胞は脱分化して前駆細胞に変化し、これはT細胞へと分化することが可能である。Pax5は癌に関与することも知られており、これが失われると前駆細胞からリンパ腫が誘発されることがわかっている。

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