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Cover Story:跳べ!現代のトカゲはベロキラプトルの動きのモデルとなり、ロボット設計にヒントを与える

Nature 481, 7380

跳べ!現代のトカゲはベロキラプトルの動きのモデルとなり、ロボット設計にヒントを与える
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Credit : Thomas Libby, Evan Chang-Siu and Pauline Jennings. Courtesy of PolyPEDAL Lab & CiBER/UC Berkeley

ベロキラプトルの化石が最初に発掘されてから数年が経った1969年、J Ostromは、獣脚類恐竜が活発な、あるいは不規則な動作を行う際に尾を力学的な安定装置として用いていたのではないかと考えた。今回、コンピューターによるモデル作製、トカゲの仲間のレインボーアガマ(Agama agama)の跳躍する様子のビデオ観察と、トカゲのような尾を持つロボットの作製を組み合わせた研究が行われ、Ostromの仮説が裏付けられた。実験結果は、感覚フィードバックを使って、角運動量が体から尾へと移されることで、能動的な尾が空中姿勢を安定化させ得るのを明らかにしている(Supplementary Informationのビデオを参照)。振り動かされる外肢の慣性は、霊長類などの動物でも安定化要素として働くと考えられており、今回の新しい知見は、外肢の進化全般に関する我々の理解と関係してくる。今回の結果は、尾を使っての高度な操作が可能な捜索救助ロボットの設計に、生物学の分野からヒントを与えることになるかもしれない。表紙は摩擦の小さい踏み台から垂直面に向かって跳躍するレインボーアガマである。( Letter p.181; N&V p.148)

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