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環境:地域差のある純一次生産利用

Nature 429, 6994

Ș 純一次生産(NPP)は、光合成によって植物の有機物に変換される太陽エネルギーの正味の量であり、地球生態系の一次エネルギー源である。人間の活動が環境に及ぼす影響は、NPP中の人間が利用する割合によって測定することができる。ヒトというたった1つの生物種だけがNPPの数パーセントを超える量を消費するという事実は我々をたじろがせるが、M L Imhoffたちは、人間が消費するNPPの量が地域間で非常に大きく異なることを報告している。 Imhoffたちは、人間が必要とするNPP量を示す全地球地図を作製し、これを、陸上で作られる総量と比較した。ついで、世界のNPPの「需要」と「供給」を示す空間的な「バランスシート」を算出した。要約すると、人間によるNPPの利用は、ほぼゼロから地域の一次生産量の数倍に至るまで、空間的に変動することがわかった。 今回の解析から、人間による消費と、関連する環境への影響の分布が一様ではないことが明らかとなり、ヒト個体群がNPPの「輸入」に依存する規模も示された。また、人間によるNPP利用の将来の伸びを遅らせるための政策上の選択肢も示唆されている。

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