海洋微生物は、炭素および硫黄の供給源としてジメチルスルホニオプロピオナートを使うことができ、その最終代謝産物はジメチルスルフィド(DMS)またはメタンチオールのいずれかである。これらの経路は海洋生態系で重要なものであり、DMSは「反温室効果」の可能性のある気体として注目されているが、メタンチオールを産生する経路にかかわっている酵素はまだ見つかっていなかった。今回、この経路の「欠けていた」構成要素が同定され、3つの新規酵素反応と新規な2つの補酵素A含有中間体が見つかった。これらの酵素をコードする遺伝子も同定され、多くの細菌プランクトンに存在することが明らかになったことから、この経路は海洋に広く存在すると考えられる。
2011年5月12日号の Nature ハイライト
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