Nature ハイライト

医学:精子からの贈り物

Nature 429, 6988

ヒトの精子が卵子にもたらすのは、父親のDNAだけではないらしい。精子は父親由来のメッセンジャーRNAも一緒に卵細胞へ持ち込むという。この発見は、不妊の研究に弾みをつけ、クローン作成方法の改良にも役立ちそうだ。 S A Krawetzたちは、ヒトの精子と受精卵に存在するのに、未受精卵には存在しないメッセンジャーRNAを6種類同定した。つまり、これらの分子は受精の際に精子によって卵子に運び込まれたと考えられる。 これらの分子の正確な機能はわかっていないが、Krawetzたちは、発生を助けるのだろうと推測している。たとえば、卵の活性化を助けたり、遺伝子の発現に関与したりしている可能性がある。これらの分子の発生における役割が確認されれば、DNAだけを導入するクローン作成技術を成功させるうえで、大きな意味をもつだろう。また、男性の不妊にかかわる分子の同定も早まるかもしれない。

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