Nature ハイライト

圧力下で決まる中心核

Nature 429, 6987

地球と火星は、元々は鉄酸化物に富んだ同じような物質から形成されたと考えられている。では、現在二つの惑星内部の鉄の分布が大きく異なっているのはなぜなのだろうか。今週号の研究では、できたばかりの地球上に広がった高温の溶けた岩石の海が高温で圧力が高かったために、マントル中に残された酸素がずっと少なかったことがその理由ではないかと考えている。その結果、地球内部には火星よりもずっと大きい鉄の核が形成されたというのだ。 地球のマントル中には火星と比べると鉄酸化物の量が少ない。これまでの研究では、高温になると溶けた金属鉄中に溶解する酸素の量が増加すると結論されていた。しかし、内圧はこれと反対の効果を持つとD C Rubieたちは論じている。だとすると、温度と圧力は互いに相殺するように見える。しかし、決定的な要因となるのは惑星の大きさと、このような初期の溶けた岩石の海の深さをどの位と仮定するかである。Rubieたちは惑星が形成されたときに金属鉄に変換された鉄酸化物の量を算出した。深さ1,800 kmの溶けた岩石の海が初期の地球を覆っていたと仮定すると、このマグマオーシャンの底の温度は3,000 ℃を超えるだろう。これは、マントルから鉄酸化物を取り出して大きな鉄の核を形成するために十分な温度であり、その結果地球の外側の領域に含まれる鉄酸化物がわずか8%という状態になったとRubie たちは考えている。 「火星は地球より小さく、質量はわずか10分の1であり、内圧はどんな深さでも地球の約3分の1にすぎない」とC B AgeeはNews and Viewsで述べている。内圧がこのように低いために、火星のマグマオーシャンは大量の金属鉄を生成できるほどの高温にはならず、その結果核は小さくなり、表面の層には約18%の鉄酸化物が含まれた赤い惑星となったのだろう。

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