Nature ハイライト

細胞:トポイソメラーゼの阻害

Nature 466, 7309

DNAポリメラーゼやRNAポリメラーゼなどのDNA鎖に沿って移動する酵素は、自分の動いていく先に超らせんを作り出すことが多い。これを抑制しないと、DNAが輪ゴムをねじったときのような巻き過ぎ状態になってしまうことがある。トポイソメラーゼは、DNAをいったん切断してからつなぎ直すことで、このような変形を解消する。トポイソメラーゼの阻害剤は、抗菌薬や抗がん剤として使われている。こういう抗菌剤の一種であるキノロン類は1962年から臨床で使われているが、現在では多剤耐性菌の出現によって有効性が低下している。今回、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のDNAジャイレース(II型トポイソメラーゼ)が、DNAおよび広域抗生物質のGSK299423と複合体を形成した状態の結晶構造が決定された。この抗生物質は、フルオロキノロン類と同一の標的に結合するが、構造も作用機構も全く異なっていて、新しいタイプの抗生物質の一例といえる。この構造からフルオロキノロン耐性を回避する機構が明らかになり、臨床的に有効な標的に対する、別の阻害機構を開発する戦略への道が開かれた。

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