動物の寄生虫対策プログラムを考えるにあたっては腸内にすむ違う種どうしの自然な相互作用を考慮せねばならないことが、英国産のウサギの研究で結論付けられた。J Lelloたちはウサギの腸内にすむ5種の寄生虫について調べた。すると、1つの種の個体数が増えると、生息空間をめぐる競争、腸内の栄養物の成分の変化、あるいは宿主の免疫系へ影響を及ぼすことによって、他の種の個体数が変化し、別種に利益をもたらしたりする可能性があることがわかった。この発見から腸内の自然な相互作用を考慮することの重要性がよくわかり、この点への考慮が欠如しているがために、家畜の寄生虫に対するワクチン開発の試みは失敗に終わっているのではないかとLello たちがいっている。Lelloたちが寄生虫の相互作用をコンピューターでシミュレーションしたところ、1つの種の寄生虫を殺すことで予想外のドミノ効果が起こる可能性のあることがわかった。そこで、あまり悪さをしない寄生虫を使って他の寄生虫を操作できるのではないかと彼らは考えている。
2004年4月22日号の Nature ハイライト
目次へ戻る