Nature ハイライト

進化:生態系の中の生物多様性

Nature 469, 7328

生物多様性と生態系機能との間の正の関係は既に立証されているが、こうした関係の具体的な形はさまざまである。実験的進化と生物多様性–生態系機能実験を組み合わせた研究は、その詳細を明らかにするのに役立つ。今回、海洋細菌20種を少数または多数の資源に適応するように進化させ(それぞれを狭食性、広食性とよぶ)、生じた細菌株で構成される群集の生物多様性を操作するという実験が行われた。広食性細菌からなる群集は、環境の不均一性を利用することができるため、平均して生産力が高かったが、生物多様性–生態系機能曲線の勾配に対する寄与は狭食性細菌のほうが大きかった。この研究結果は、種の絶滅が生態系機能にもたらす影響を進化史が形作っていることを初めて示した実験的証拠であり、保全戦略の研究にも関係してくる。

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