Nature ハイライト

医学:標的に選択的に作用するがん治療薬への道

Nature 467, 7315

今週号のPerspectiveでは、J de BonoとA Ashworthが、がん治療薬の臨床試験で現在行われている手順について批判的な見解を述べている(p.543)。目下、がん治療薬開発の重点が、非特異的に働く細胞毒ではなく、合理的に設計された分子標的薬のほうにあることは確実である。だが、いくつかの成功例はあるものの、膵臓がんや肺がんなどの多くのがんについて予後がよくないことに変わりはない。臨床試験の多くは、患者の転帰にも、がんの生物学的性質の解明にも影響をほとんど及ぼさず、また、ある特定の患者に対してではなく平均的な患者に対していちばんよい治療をもたらすにすぎない。de BonoとAshworthは、統合的ながん研究とバイオマーカーを使う適応型の仮説検証的な臨床試験のような新しい方法について論じている。また、分子構造に基づく創薬ががん治療にもつ将来性については、発がんに関与するプロテインキナーゼB-RAFの阻害剤PLX4032に関する研究で明らかにされている(Letter p.596, www.nature.com/news/2010/100907/full/467140b.html)。

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