Nature ハイライト

細胞:低分子RNAが移動する仕組み

Nature 467, 7314

RNA干渉(RNAi)は、マイクロRNA(miRNA)や低分子干渉RNA(siRNA)とよばれる長さ21〜24塩基のRNA分子種がかかわる遺伝子調節機構で、その遺伝子サイレンシング特性は、植物でも動物でも細胞から細胞へと伝播できる。このような伝達を可能にする可動性のサイレンシングシグナルが何なのかは、まだ解明されていない。D ChitwoodとM Timmermansは、植物でのこのシグナルの正体解明に役立った最近の研究を概説し、植物の既知のRNAi経路はほとんどすべてが細胞間を移動でき、少なくともその一部は維管束系を介して伝わるが、可動性シグナルの正体はまだ確定されていないと結論している。最有力候補の1つは低分子二本鎖RNAだが、一本鎖の低分子RNAが移動するようにみえる例もいくつかある。さらに、これらのRNAは移動の際にタンパク質と結合しているのか、それとも遊離状態なのか、また移動が受動拡散によるのか能動輸送によるのか、という問題も解明されていない。

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