Nature ハイライト
環境:減少する植物プランクトン
Nature 466, 7306
海洋の植物プランクトンは、地球の生物地球化学的循環で重要な役割を担っており、海洋生態系の基盤を形成している。1979年以降利用可能となっている衛星リモートセンシングのデータから、植物プランクトンのバイオマスが気候強制力と関連して10年単位で変動していることを示す証拠が得られているが、たった数十年程度のデータでは長期的な傾向を明らかにするのには不十分である。D Boyceたちは今回、セッキー円盤として知られる装置で得られた海洋の透明度測定値および各種の船上測定値を含むさまざまなデータに基づいて、1899 年以降の植物プランクトンバイオマスの局地的、海域的、および全球的な傾向を見積もることにより、リモートセンシングのデータから得られた結果を長期的傾向に重ね合わせた。記録から現れたのは、全球植物プランクトンバイオマスの100年にわたる減少である。研究チームの推定によれば、植物プランクトン現存量の減少が最も激しいのは、高緯度、赤道海域、外洋性海域で、特に近年の減少が著しい。多くの海域の傾向は、海洋温暖化の進行や主要な気候指数と有意に相関している。
2010年7月29日号の Nature ハイライト
宇宙:太陽系探求の歴史
環境:減少する植物プランクトン
量子情報科学:光子3つの量子もつれ
地球:ニューマドリッド地震活動
進化:性染色体のダイナミックな進化
医学:糖尿病にかかわる生物時計
細胞:パーキンソン病でのマイクロRNAの働き
遺伝:新種の低分子RNA
顕微鏡法:分子1個を見る