Nature ハイライト 地球:海底の微生物ナノワイヤー網 2010年2月25日 Nature 463, 7284 微生物の中には、いわゆる「微生物ナノワイヤー」または電子伝達仲介物質により、細胞外電子伝達を行えるものがある。今回、こうした細胞外電子伝達が、海洋堆積物中でセンチメートル規模で離れた化合物の酸化を可能にする重要な過程である可能性が示唆された。藻類の死骸や動物の糞は海洋堆積物中に埋没し、微生物にとってよい食物資源となるが、堆積物表面から数ミリメートル以上深いところでは酸素がなくなるので、こうした資源の利用は制限される。デンマークのオルフス沖の海底で得られた堆積物試料を研究した結果、微生物は細胞間で電子伝達を行い分業を確立することで、この障害を克服していることが明らかになった。堆積物表面にいる細胞は、群集全体の細胞をまかなうのに十分な酸素を利用し、深いところにいる細胞は群集全体をまかなうための栄養を確保しているのである。 2010年2月25日号の Nature ハイライト 発生:神経への直接転換 細胞:AIDタンパク質と分化多能性 医学:喘息でのスフィンゴ脂質の役割 宇宙:いびつなホットジュピター 材料:輝かしいドーピング技術 地球:海底の微生物ナノワイヤー網 古生物:赤毛の恐竜 系統分類:節足動物の世界 細胞:マイクロRNAの伝承 脳:富めるときも、貧しきときも 目次へ戻る