Nature ハイライト

地球:ヤンガードライアス期の洪水の跡をたどる

Nature 464, 7289

急激な気候変動に対する現在の考え方は、大規模な気候変動が本質的に同時に起きた、ヤンガードライアス期などの事象に対する、説得力のある古気候学的証拠に強い影響を受けている。後退するローレンタイド氷床からの真水の注入によって大西洋の南北方向の鉛直循環に変化が起こり、ヤンガードライアス期の引き金になったと一般的に考えられているが、この理論を裏付けるなるほどと思わせる地質学的証拠は、いまだ見つかってない。今回J Murtonたちはついに、ヤンガードライアス期と年代学的に一致する大洪水を突き止めた。北西カナダで浸食面の上に見つかった砂礫は、ミシシッピ川沿いに南に流れた経路や五大湖を通って東へ流れた経路とは一致しないが、マッケンジー川を通って北極海へと流れた大洪水の経路とは一致するのである。

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