Nature ハイライト

Cover Story:HIV-1の内部事情:全RNAゲノムの構造

Nature 460, 7256

完全なHIV-1ゲノムRNAの二次構造が決定された。これは、感染性ウイルス粒子から抽出された真正のHIV RNAの解析に基づくものである。ウイルスの一本鎖RNAゲノムの二次構造が機能的また調節的役割を果たすことは知られているが、今までのところ、どんなウイルスについても全RNAの包括的な解析は行われていなかった。今回、HIV-1ゲノムRNAが形成する全体構造の特徴を調べるのに、SHAPE(high-throughput selective 2′-hydroxyl acylation analysed by primer extension)という技術が使われた。高度に構造化されたモチーフが多数見いだされ、また、これらの多くについて機能の推定が行われている。RNAの構造要素の存在が、タンパク質の翻訳に影響し、またタンパク質の適切な折りたたみを促進していることがわかったのは重要である。これらの結果は、HIV-1ゲノムが確かに構造をもち、その構造成分がウイルスの適応に非常に重要であることを強調している。この研究から得られる考察は、HIV-1の生物学的性質の解明を進め、新しい抗レトロウイルス療法につながるだろう(Article p.711, N&V p.696)。

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