Nature ハイライト

Cover Story:住血吸虫のゲノミクス:「放置されてきた」病原体であるマンソン住血吸虫と日本住血吸虫の全ゲノム解読

Nature 460, 7253

2つの国際コンソーシアムが、住血吸虫症を引き起こすビルハルジア属の3つの主な病原体のうちの2つ、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)と日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)の全ゲノム配列を報告している。住血吸虫症は、治療薬の開発が行われないままに「放置されてきた」熱帯病だが、76の国で2億人以上が罹患している。今回新たに得られたゲノム塩基配列の解析から、これらの病原体の分子構成や宿主との相互作用についての手がかりが得られるのに加えて、この疾患を標的とする治療的介入法のこれからの開発に向けた道が開かれる。これら2つは、初めて塩基配列が解読された扁形動物ゲノムであり、そのため、動物進化の初期に起こった事象、特に体のパターンの決定や組織から器官への発達などについて、新しい見方を提供してくれる。表紙は、D Scharfによる、雌雄合体しているマンソン住血吸虫の光学顕微鏡写真(およそ265倍)。細長い雌が雄の下方に見えている(Articles p.345, 352, www.nature.com/podcast)。

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