Nature ハイライト

脳:感覚情報の伝達

Nature 459, 7247

ニューロンのネットワーク内で、20〜80 Hzで測定される同期した活動波をガンマ振動といい、情報の処理中や注意の集中時に表れるが、統合失調症患者ではこの調節が損なわれている。この活動バンドが何によって誘導されるのかは、これまで推測によって理論が考えられてきた。今回、特定の細胞種を標的として光遺伝学の手法を用い、現在主流とされている理論、つまりガンマ振動はパルブアルブミンを発現する高速発火型(FS)介在ニューロンの同期的活動によって生じるとする理論が、2つの研究によって検証された。いずれの実験結果も、この理論が正しいことを示唆している。Cardinたちは、in vivoでのFS介在ニューロンの特異的活性化によりガンマ状態が駆動できること、この振動にかかわる感覚入力によって、誘発皮質活動の範囲が決められることを示した(Article p.663)。Sohalたちは、FS介在ニューロンの特異的活性化がガンマ振動を生じさせることを実験によって実証し、彼らのデータも、ガンマ振動をもととした興奮性細胞の調節が、回路の信号対雑音比を向上させる可能性を示唆している(Letter p.698)。

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