Nature ハイライト

遺伝:miRNAとmRNAの相互作用

Nature 460, 7254

遺伝子発現の調節に、阻害性マイクロRNA(miRNA)による遺伝子サイレンシングが重要なのは、現在では広く認められている。しかし、miRNAによるメッセンジャーRNAの調節に必要なのは、両方の配列のごく短い部分(8ヌクレオチド以下)が相補的であることだけなので、予想される多くのmRNA結合部位の中のどれがin vivoでそれぞれのmiRNAの標的となるのかを確定することは、ほぼ不可能だとわかっている。今回、広範に存在するエンドヌクレアーゼで、RNA誘導性サイレンシング複合体の一部であるArgonauteタンパク質と、miRNAおよびmRNAとの相互作用に注目する巧妙なHITS-CLIP法により、脳mRNA転写産物のmiRNA結合部位の正確なマップが解読された。この方法は、一般的応用が可能なので、miRNAの生物学的役割の解明のための新しい手法となりそうだ。また、このマップを用いて、臨床にかかわるmRNAに対するRNA干渉(RNAi)療法の標的部位を決定できる。

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