Nature ハイライト

細胞:細菌が乗っ取る腸上皮

Nature 459, 7246

腸の上皮は、細菌が感染すると迅速に自己複製を行って、基底膜から剥がれ落ちる。この過程は病原体に対する防御システムとなっているのだが、それにもかかわらず、多くの腸病原性細菌は腸上皮に定着する。今回、病原性細菌が宿主のこの防御法を回避する仕組みが明らかになった。赤痢菌の毒性因子OspE(ほかの多くの腸病原性細菌にもみられる)が、インテグリン結合キナーゼに結合することにより、宿主細胞のマトリックスとの接着を強化するのである。それによって上皮の剥離が抑制され、腸上皮への細菌の定着が促進されるらしい。この知見からすると、OspE因子によるインテグリン結合キナーゼ乗っ取りを阻止する小型の分子があれば、腸への細菌感染を防ぐのに効果があるかもしれない。

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