Nature ハイライト

Cover Story:フローレス原人の骨:原始的な人類が小型なのは停留か、それとも島嶼矮化か

Nature 459, 7243

2004年に本誌に初めて報告された小型の人類、Homo floresiensisは、インドネシアのフローレス島に約1万4,000年前まで生息していた。表紙は、その基準標本LB1の部分骨格である。LB1では、足(くるぶし以下の部分)を部分的に復元するのに十分な材料が残っており、今回それについての論文が発表された。LB1の足は、大きな母趾がヒトのように完全に内転しているが、現生人類に比べると、下肢の残り部分に比して相対的に長く、一部の類人猿に近い(Letter p.81)。H. floresiensisを小型の人類とする考え方には疑いを挟む向きもあり、特に、その脳の小ささは疾患によるものとする意見もあった。新たな研究により、マダガスカルにかつて生息していて現在は絶滅した小型のカバが、大陸種よりも極端に小さな脳をもっていたことが明らかにされている(Letter p.85)。このことは、哺乳動物の体が小型化しても脳はそれほど小型化しないという、島嶼矮化の「法則」が正しくないという考えを裏付けるものだ。News & ViewsではD Liebermanが、この2つの論文およびThe Journal of Human Evolutionの特別号について論じ、H. floresiensisはおそらく本物の人類であり、極めて興味深いヒト種なのだろうと結論している(p.41)。

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