Nature ハイライト

物理:光で壊す

Nature 431, 7007

単一光子が重水素分子に入射すると、分子をその構成要素である原子核と電子に分裂させる。その結果から、原子核と電子がどのように分子を形作っているのか、かなり明確になる。これが、R Dörnerたちによる今回の実験の狙いである。彼らは、分子の性質が、それを構成する電子と原子核の量子力学的な動きによって決まることに注目した。だが測定は口で言うほど簡単ではなく、束縛状態にある原子核と電子の相互関係について、解明すべき多くのことが残されている。 しかし、分子をその構成要素にきれいに分解する方法があれば、解明はずっと進むだろう。今回、単一光子を使って重水素分子をバラバラにすることで、電子の相関運動は光子が吸収される瞬間における原子核間の距離に強く依存することが示された。

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