Nature ハイライト

Cover Story:光がかかわる擬態の仕組みを解明:光誘導性のドーパミンニューロンはオタマジャクシの擬態に役立つ

Nature 456, 7219

種々の神経伝達物質を発現するニューロン間のバランスは、脳の発生中に遺伝的調節によって決まると考えられており、それはニューロン集団間のシグナル伝達を可能にする重要な段階である。D Dulcis とN Spitzerが新たに行った研究で、出生後のアフリカツメガエル・オタマジャクシの脳で発現される伝達物質の種類が、自然刺激によっても調節されることがあるのが明らかにされた。新たにドーパミンを発現するようになったニューロンは、内在性のドーパミン作動性ニューロンと同じく、単純な擬態行動を引き起こす。表紙はきょうだいのオタマジャクシで、それぞれ暗所と明所に順応したもの。こうした行動を制御するのは視床下部だが、そこにあるドーパミン作動性ニューロンの数が自然光によって増加し、暗所では減少する。成長中の神経系におけるこのような可塑性は、生体調節機能をもつアミン類によって制御される認知状態にもかかわっている可能性がある。興味深いことに、うつ状態の1つで、ドーパミンシグナル伝達系の異常と関連している季節性情緒障害の患者の治療には、明るい光を浴びせる方法が用いられている(Article p.195, N&V p.177)。

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