Nature ハイライト

遺伝:民族による遺伝子変異

Nature 456, 7218

2つの大規模な共同研究によって、最新の大量並行塩基配列決定法の力量が実証され、民族によるゲノム変異の性質が明らかにされた。1つ目の論文では、西アフリカに住むヨルバ族の1人のゲノムの特徴が報告され、2つ目の論文では、世界の人口の30%を占める中国漢民族の1人のゲノムが報告されている。これらの新しい塩基配列情報は、現在、VenterやWatsonの個人の全ゲノム配列およびNIHのヒト標準配列と併せて入手可能である(Articles pp.53, 60, N&V p.49)。また、別の研究では、欧州の30カ国以上の1,387人のデータに基づいて、大陸規模で民族の遺伝学的特性が調べられた。概していえば、国の間での遺伝的変異はほとんどみられなかったが、地理的な地図と密接に対応する遺伝的差異が存在した。このゲノムデータを統計学的に解析すると、調査対象者の50%をその報告されている出身地から310 km以内にマッピングできる。この研究は、遺伝的祖先の検証に関連するだけでなく、遺伝子と疾患を関連付ける全ゲノム関連性解析研究の評価にも意味をもってくる(Letter p.98)。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度