Nature ハイライト

物性:高温超伝導体が示す金属の性質

Nature 455, 7215

銅酸化物超伝導体は、超伝導転移温度(Tc)が高いばかりでなく、さまざまな新規の物理的特性を示すことから、それらの電子基底状態を説明するため多くの理論が考え出された。注目すべき問題の1つは、これら化合物の金属相の性質であり、特に、微量の不純物を加えるドーピングによって、反強磁性絶縁体からどのようにコヒーレントな電子状態、すなわち準粒子が現れるかというものである。Vignolleたちは、オーバードープ超伝導体Tl2Ba2CuO6+δで量子振動、すなわち磁場の関数としての電気的および磁気的応答の振動を観測したことを報告している。これらの振動は、明確な準粒子の、ブリルアンゾーンの3分の2をカバーするような大きなフェルミ面が存在することを表している。測定結果から、一般化されたフェルミ液体の描像を超伝導ドームのオーバードープ側に適用できることが確認されている。つまりこの結果は、超伝導に関与する重要な電荷キャリアは、常伝導金属にみられる電荷キャリアと本質的には同じであることを意味している。

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