Nature ハイライト

環境:古い森を伐採するなかれ

Nature 455, 7210

古くなってきた森林は炭素を蓄積しなくなるため、炭素収支はプラスでもマイナスでもないとずっと考えられてきた。そのため、こうした森林は、例えば京都議定書のような条約の「森林クレジット」の対象として認められていない。今回、森林の炭素フラックスの推定値に関する文献およびデータベースの大規模な検索が行われ、古くなってきた森林の正味の炭素収支は大抵プラスであることが明らかにされた。この知見は、老齢林、つまり年を経た森林が炭素を蓄積する能力を維持し、世界の正味の生態系生産力の少なくとも10パーセントを占めている可能性を示唆している。こうした森林に撹乱が生ずると、炭素の大部分が大気中に戻ると考えられるので、炭素量算定に際して、老齢林保全の価値を認めることは妥当だといえよう。

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