Nature ハイライト

細胞:より簡単で、より安全なiPS細胞を目指す

Nature 454, 7204

体のほとんどの組織を構成している「普通の」細胞である体細胞を初期化して、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)にする過程には、Oct4、Sox2、c-MycおよびKlf4という4つの転写因子の発現が関与している。臨床応用のためにこの過程をより簡単、かつより安全と考えられるものにしようと、必要な導入遺伝子の数を減らし、がん遺伝子であるc-Mycを必要としない方法の開発に力が注がれている。Kimたちは、成体マウスの神経幹細胞からのiPS細胞作製には、Oct4の他にKlf4あるいはc-Mycのどちらかという2つの内因性因子の導入だけで十分であることを示している。これが可能なのは、神経細胞は本来、胚性幹細胞よりもSox2およびc-Mycの発現レベルが高いからである。この結果は、目的にあった転写因子が内在している体細胞が、iPS細胞産生の有望なスタート材料となる可能性を示している。

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