Nature ハイライト

発生:大きさに応じてパターンが調整される仕組み

Nature 453, 7199

ハンス・シュペーマンが20世紀初頭に行った研究は発生生物学に大きな影響を及ぼしたが、彼の実験結果のいくつかについては、まだ分子レベルでの説明ができていない。特に、胚の背側の半分が、すべての要素を含み、均整のとれた(しかし通常より小さい)体軸を再生できることは、大きさに応じてパターンを調整する胚の能力を示唆しているが、これがどういうものかは未解明である。Ben-Zviたちは、胚でのBMP(骨形成タンパク質)活性の勾配分布を調べた。この勾配は、シュペーマン形成体として知られる誘導的影響をもつ細胞群が規定する初期の背腹パターン形成の基盤となる。その結果明らかになったのは「往復輸送型」の機構であり、BMPリガンドはBMP抑制因子Chordinと結合して腹側へ輸送される。この往復輸送は、BMPリガンドAdmpのフィードバック抑制と組み合わさっていて、胚の大きさを量的に監視し、それに応じて活性勾配を調整することに使われている。

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