Nature ハイライト

物理:反物質がなくなった理由

Nature 452, 7185

反物質は、ビックバンで物質と等量だけ生成されたと考えられているが、現在ではほぼ消滅している。反物質の消滅がなかったら、生命が存在することはなかっただろう。この反物質の消滅を解明するための前提条件が、電荷-パリティ(CP)対称性の非保存性である。Belle国際共同実験グループは、高エネルギー物理学研究所(KEK)の「Bファクトリー」電子-陽電子衝突型加速器による大規模実験で5億3,500万個のB中間子 / 反B中間子対を使って、CPを破る非対称性を測定し、この基礎物理学上の難問に取り組んでいる。これまでの研究から、荷電粒子と中性粒子の崩壊率に違いがあること、すなわち荷電B中間子が約+7%、中性B中間子が−10%と崩壊率の非対称性が明らかになっている。今回の新しい研究によって、荷電粒子崩壊率の非対称性の不確定性が1.7分の1に小さくなり、荷電B中間子崩壊と中性B中間子崩壊ではCPの直接的な破れに大きな差があることに対する、さらにはっきりした証拠が得られた。

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