Nature ハイライト

医学:コレラ菌の武装解除

Nature 450, 7171

ある種の細菌はクオラムセンシング(菌密度感知機構)と呼ばれる仕組みをもち、シグナル伝達分子を使って情報交換を行い、遺伝子の発現を同調させることによって、あたかも多細胞生物であるかのような挙動をとることができる。コレラ菌(Vibrio cholerae)はクオラムセンシングによって毒性を制御し、バイオフィルムを形成するが、このバイオフィルムが感染治療を難しくする一因となっている。今回、コレラ菌のクオラムセンシングにおける主要なシグナル伝達分子(オートインデューサーと呼ばれる)のCAI-1が、(S)-3-ヒドロキシトリデカン-4-オンであることが明らかになった。これは全く新しい生体分子である。これらをコレラ菌に与えると病原性に必要な因子の生産が終了するため、CAI-1投与はこの重要な病原菌に対処する新しい方法となるかもしれない。

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