Nature ハイライト

Cover Story:胚性幹細胞:霊長類皮膚細胞の再プログラミングに成功

Nature 450, 7169

患者の細胞と遺伝学的に一致する細胞を作るために、成体細胞を再プログラミングする技術の研究が盛んに行われている。そのような胚性幹細胞であれば、免疫拒絶反応を起こさず、治療に使える可能性がある。再プログラミングの方法の1つに体細胞核移植があり、この方法では核を除去した卵母細胞に成体細胞核を挿入する。次いで、初期段階の胚(胚盤胞)を誘導・作成し、そこから胚性幹細胞を得て培養するのである。これまでこの方法はマウスでのみ可能だったが、今回Byrneたちは、霊長類成体の繊維芽細胞を出発点として使って成功した。彼らは、14匹のアカゲザルから得た304個の卵母細胞から、2つの胚性幹細胞株を作成した。この成功は、この手法が患者由来の胚性幹細胞作成に適する可能性があることを示している(Article p.497, News p.462, N&V p.485, www.nature.com/podcast)。この報告を検証する論文(doi:10.1038/nature 06456)がNatureのウェブサイトに掲載されている。表紙(カラー化した映像)は、核摘出直前の卵で、保持ピペットで固定され、右側にある核摘出用の鋭いピペット先端が核に向けられている。

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