Nature ハイライト

Cover Story:Brainbowによる多色標識法:脳の神経接続状態を示す虹色の地図

Nature 450, 7166

1世紀以上前に、スペインの神経解剖学者であるラモン・イ・カハールがゴルジ染色法を神経細胞に使用したことが、現代の神経生物学への門戸を開いた。少数のニューロンの染色により、それまで見えなかった軸索と樹状突起が、それを取り囲む組織の中に伸びている姿を見ることが可能となったのである。しかし、ゴルジ染色法は少数の細胞だけを単色で標識するものである。今回ハーバード大学の研究チームは、脳回路内にある多数の細胞を一度に可視化する方法を開発した。この「Brainbow」法は、数百ものニューロンをそれぞれ色分けして標識できるので、神経回路の詳細なマップを作ることが可能である。この手法は、正常時または疾患時の脳の地図作製を促進するだけでなく、免疫系などの複雑な細胞集団への適用も可能となりそうだ。表紙は、「Brainbow」マウスの海馬部分を示す。歯状回(底部)ではいろいろな色に染色されたニューロンが弓形のCA1領域の細胞の下に位置するのに対し、大脳皮質のニューロンは上部で光っているのが見える(Article p.56, www.nature.com/podcast)。

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