Nature ハイライト

Cover Story:HIVの隠された弱点:CD4結合部位の脆弱性

Nature 445, 7129

免疫不全ウイルス1型(HIV-1)は、免疫に対してカモフラージュを行う保護膜の働きにより宿主防御を免れる。しかし、b12抗体はこうした障壁を突破することから、b12とHIVのgp120エンベロープ糖タンパク質との相互作用は、ワクチンや薬剤設計の分野で関心を集めている。gp120のコンホメーションは可動的なため、分析は厄介だが、CD4と結合した状態で安定化したgp120分子を用いることでこの障害が克服された。この「固定状態の」gp120を用いた生物物理学的分析から、受容体との結合は、最初の「握手」にあたる結合と、それに続いて起こる形状変化による「抱擁」といった感じの結合の2段階を経ることが示された。b12抗体がgp120の防御的形態変化をやり過ごすのは、「握手」の段階でみられる予想外の「脆弱性」を利用することによっている。この段階では、HIVが効率的にCD4と結合するのにかなり速い結合速度を必要とするため、こうした脆弱性が生じるのだ。表紙のX線結晶解析画像は、b12抗体(緑)がこの新しく同定された脆弱部位(黄色)をひっつかんだ状態を捕らえたもの。[Article p.732, www.nature.com/podcast] 画像:Jonathan Stuckey(米国立衛生研究所)。

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