Nature ハイライト
Cover Story:小型のティラノサウルス類:ティラノサウルス類の若い成体個体の骨格標本が、ナノティラヌスの存在を裏付けた
Nature 648, 8093
NC Museum of Natural Sciences
ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex、以下T. rex)は、最も象徴的でよく知られた恐竜の一種だが、何十年にもわたってある論争に巻き込まれてもいた。その議論の中心にあるのは、1940年代に発見されたT. rexの小型の近縁種と見られる恐竜の頭骨化石である。この頭骨はその後、新種ナノティラヌス・ランケンシス(Nanotyrannus lancensis)として記載されたが、近年では単にT. rexの幼体と見なされるようになっていた。今週号ではL ZannoとJ Napoliが、この論争を決着させるに違いない証拠を提示している。著者たちは今回、米国モンタナ州のヘルクリーク累層で見つかった、小型のティラノサウルス類の化石について報告している。この骨格化石は保存状態が極めて良好で、研究者たちはこれが若い成体個体のものであると判断することができた。この個体はまだ成長途中だが、極めて重要なことに、完全に成長しきったとしてもT. rexの成体サイズにははるかに及ばない可能性が高い。解析の結果、この恐竜は実際には新種であることが明らかになり、彼らはこれをNanotyrannus lethaeusと命名した。今回の発見は、T. rexと少なくとも2種のより小型の肉食恐竜がこの時代に共存していたことを裏付けている。
2025年12月11日号の Nature ハイライト
原子核物理学:レーザー誘起メスバウアー分光法による229Th分光法
素粒子物理学:ハドロン衝突から解明された(反)重陽子生成の詳細
材料科学:高性能で低電力の強誘電体トランジスター
冶金学:ナノ結晶金属の変形挙動
有機化学:アルゴリズムを用いた協同触媒の探索
有機化学:爆発性中間体を経ずに芳香族アミンを変換する
自然災害:極端な気象事象の後の復旧に見られる地域社会の格差
進化学:イシサンゴの絶対共生から条件的共生への進化
進化学:一部のサンゴは環境変動を生き延びる可能性がある
生物学的手法:染色体不安定性の起源を追跡する新手法
政治学:AIが選挙の票を動かす
神経科学:脊髄損傷は薬で治せるか
神経科学:α-シヌクレイン繊維が持つ自己複製能力の構造解析
ニューロン発生:嗅覚ニューロンの1対1対応を可能にする機構
環境衛生:降雨と海水準上昇で生じる死亡格差
植物科学:植物で免疫と共生の受容体シグナル伝達を識別する機構
寄生虫学:蚊の細胞とマラリア原虫との相互作用の経時的解明
生化学:Ca2+チャネルの全く新しい設計法
構造生物学:エポチロンBは再生しにくいCNSの軸索再生を促進する

