Nature ハイライト

Cover Story:小型のティラノサウルス類:ティラノサウルス類の若い成体個体の骨格標本が、ナノティラヌスの存在を裏付けた

Nature 648, 8093

ナノティラヌスの頭骨化石の吻部。ナノティラヌスの頭骨はティラノサウルス・レックスのものと比べて構造が異なり、歯の数が多かった。
ナノティラヌスの頭骨化石の吻部。ナノティラヌスの頭骨はティラノサウルス・レックスのものと比べて構造が異なり、歯の数が多かった。 | 拡大する

NC Museum of Natural Sciences

ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex、以下T. rex)は、最も象徴的でよく知られた恐竜の一種だが、何十年にもわたってある論争に巻き込まれてもいた。その議論の中心にあるのは、1940年代に発見されたT. rexの小型の近縁種と見られる恐竜の頭骨化石である。この頭骨はその後、新種ナノティラヌス・ランケンシス(Nanotyrannus lancensis)として記載されたが、近年では単にT. rexの幼体と見なされるようになっていた。今週号ではL ZannoとJ Napoliが、この論争を決着させるに違いない証拠を提示している。著者たちは今回、米国モンタナ州のヘルクリーク累層で見つかった、小型のティラノサウルス類の化石について報告している。この骨格化石は保存状態が極めて良好で、研究者たちはこれが若い成体個体のものであると判断することができた。この個体はまだ成長途中だが、極めて重要なことに、完全に成長しきったとしてもT. rexの成体サイズにははるかに及ばない可能性が高い。解析の結果、この恐竜は実際には新種であることが明らかになり、彼らはこれをNanotyrannus lethaeusと命名した。今回の発見は、T. rexと少なくとも2種のより小型の肉食恐竜がこの時代に共存していたことを裏付けている。

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